皮膚の異常
多汗
①落ち着いて対処すればいいケース
・遺伝によるもの
⇒掌、足の裏、脇の下に過剰な汗をかく場合、原発性多汗症を遺伝的に受け継いでいる。
・火照りが起こる
⇒閉経期の女性に多く、顔や胸が一時的に火照る。症状が頻繁、酷い場合は医師に相談。
・風邪やインフルエンザに伴って出るもの
②診察を受けた方がいいケース
・体重が減っている
⇒多汗・体重減少は甲状腺機能亢進症、一部のがん、感染症、全般性不安障害の可能性。
原因を調べる必要がある。
・シーツがびしょ濡れになる程の寝汗
⇒異常がない場合もあるが、糖尿病、胃酸逆流、甲状腺疾患、感染症、がん等の可能性も。
医師に相談する必要がある。
・一時的に酷く発汗し頭痛や動悸等の症状も見られる
⇒褐色細胞腫の可能性。一般に副腎に出来る腫瘍。検査を要する。
・一時的に酷く発汗し、何も出来なくなるような恐怖が襲ってくる
・薬を服用している
⇒主治医に相談。
・毎日のようにアルコールを飲んでいたが、急に禁酒を始めた
⇒離脱症状によるもの。放置すると命に関わる事もある為、早期に診察を受ける事。
③救急外来を受診すべきケース
・40℃以上の高熱
皮膚の痒み・発疹
①落ち着いて対処すればいいケース
・発疹はないが、皮膚が痒い、ぼろぼろと剥がれる、ピンと張りつめている
⇒乾燥肌によるもの
・石鹸や洗剤のブランドを変えた後、皮膚が赤くなり痒みが出た
⇒化学物質に反応しての症状。肌に優しいものに変えること。
・1日日差しの中にいると、肌が焼け、痛みや赤みが出る
⇒日焼けによるもの
・妊娠中
・肌が痒く、環状の赤い発疹が出ている
⇒白癬の可能性。市販の抗真菌薬で対応可能・
・水虫によるもの
・鼻や頬が常に赤く、一部の血管が浮き出て見える
⇒30を超えた喫煙者や色の白い女性に見られる酒さと呼ばれる慢性の疾患。
アルコールや辛いものを摂取した時、日光を浴びた時、運動時、寒さにより赤みを増す。
その他面皰に似た吹き出物や、ドライアイ等の症状も見られ、治療法はない。
・疣のようなものが出来ている
⇒半数以上の人に見られる軟性線維腫の可能性。危険はないが、除去する事も可能。
②診察を受けた方がいいケース
・全身に2週間以上続いている痒みがあり、保湿剤を使うと改善する
⇒稀なケースであるが、腎臓、肝臓、甲状腺、神経、血球等の疾患から来ている可能性。
検査を行う必要がある。
・新しい薬の投与を始めたばかり
⇒主治医に相談すること。
・肘、膝、頭皮に痒みがあり、皮膚が剥がれる
⇒周囲の正常と比べ、はっきりとした斑模様が見られる場合、乾癬の可能性。
乾癬は自己免疫疾患である為、重度の場合は免疫抑制剤の投与を要する。
銀白色の斑点が見られる事もあり、手足や耳、背中等にも出現することもある。
・子どもの頃から首、肘、膝の皺部分に痒みのある乾燥した発疹が見られる
⇒アトピー性皮膚炎の可能性。喘息や食物アレルギー持ちの人によく見られる。
・肌に痛みと熱を持った赤い部分があり、発熱と悪寒を伴う
⇒蜂巣炎の可能性。皮膚の感染症で抗生剤での治療を要する。
膿瘍が出来ている場合は排膿処置を要する為、早期の診察を要する。
・体や顔の片側に痛みが生じ、その後水膨れのような発疹が出た
⇒水痘ウイルスの再活性化による帯状疱疹の可能性。治療を要する。
・指、手首、脇下、生殖器、膝、足等に強い痒みのある発疹ができた
⇒ダニにより伝染する疥癬の可能性。強い痒みや小さな赤い斑点が生じ、夜に痒みが増す。
治療が必要。
・だんだん大きく黒っぽくなっていくほくろがある
⇒メラノーマの可能性。皮膚がんの一種。
非対称、不規則な境界線がある、変色する、直径6m以上、変化を生じるものは危険。
病変部が隆起したり分厚くなるのも悪い兆候であり、治療が遅れると生存率が下がる。
・両腕に痒みがあり、段々苛々する痒さになっている。
⇒皮膚ではなく神経の問題によって起きる腕橈骨掻痒症の可能性。
神経の衝突により首、肩、腕に著しい痒みが生じ、冷やすと緩和され、日光で悪化する。
医師に相談し薬を処方してもらう必要がある。
・赤い発疹が頬や鼻筋全体に広がり、豊齢線のところで途切れている
⇒頬部紅斑、若しくは蝶形紅斑と呼ばれるもの。
原因と思われる疾患は脂漏性皮膚炎と呼ばれる皮膚ガンジダ症で薬での治療を要する。
又は酒さによるもの、一番危険な原因としては全身性エリテマトーデスの可能性。
全身性エリテマトーデスは自己免疫疾患のひとつで若い女性が罹患しやすく、
酒さと同様日光で悪化するが、辛いものやアルコールの摂取で悪化する事はない。
紅斑の原因を詳しく検査する必要がある。
・森や草村等を歩き回った後、的の中心のような発疹が出来た
⇒マダニに噛まれる事により細菌に感染し発症するライム病の可能性。
放置すると関節や心疾患等の合併症を引き起こす為、早期の治療を要する。
・長年に亘り日差しの下で働いたのち、凸凹した瘡蓋のような黄色っぽい斑点が肌に出来た
⇒日光角化症の可能性。扁平上皮癌という皮膚がんになる事がある為、治療を要する。
・茶色い盛り上がった疣が肌にくっつくようにして出来ている
⇒脂漏性角化症の可能性。中年期かそれ以降に出現。特に害はないが、除去する事も可能。
稀にメラノーマに似たものもある為、診察を受ける必要がある。
・肌の下にゴムのようなしこりがあり、指で押すと簡単に動く
⇒脂肪腫の可能性。遺伝性のもの。特に害はないが除去する事も可能。
稀に脂肪肉腫という腫瘍に変化する可能性がある為、定期的な診察を要する。
③救急外来を受診すべきケース
・蕁麻疹が出来、舌や喉がチクチクしたり腫れている。吐気、呼吸困難も生じている
⇒アナフィラキシーショックによるもの。救急車要請を要する。エピペン使用を要する。
・発熱があり、痛みのある紫色の水膨れが皮膚、唇、口内に出現、目が赤く痛みがある
⇒スティーブンス・ジョンソン症候群、又は中毒性表皮壊死症の可能性。生命に関わる。
稀ではあるが、深刻な薬剤反応、感染症によって発症し、緊急の処置を要する。